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独身の方が兄弟に遺産を渡したくない場合の相続対策とは?
独身の方で兄弟姉妹との折り合いが悪く、自分が亡くなった後に遺産を渡したくないという場合にどのように対策すればよいでしょうか?
親の接し方の優劣や、兄弟(姉妹)同士の劣等感や性格が違うなど兄弟(姉妹)で仲が悪い原因は人それぞれです。
独身の方が亡くなった場合に何も対策していないと兄弟姉妹が法定相続人となる可能性が高いため、もし自分が亡くなった場合に兄弟姉妹に遺産を渡したくないと考えている方は相続の対策が必要です。
独身の方が亡くなったら誰が法定相続人になる?
相続人の範囲は民法で定められています。
相続人の範囲
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
【第1順位】死亡した人の子供
その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。
【第2順位】死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。
第2順位の人は、第1順位の人がいないときに相続人になります。
【第3順位】死亡した人の兄弟姉妹
その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。
第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。
独身の方で子供がおらず、父母や祖父母がすでに亡くなっている場合は、兄弟姉妹が相続人となります。
独身の方が兄弟姉妹に遺産を渡したくない場合
・遺言書を作成して、兄弟姉妹以外の人に遺贈する
遺言書があれば、その内容に沿って遺産分割を行うことになります。
遺言とは、自分が生涯をかけて築き、かつ、守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う遺言者の意思表示とされています。
民法964条においても遺言者は遺言によって財産の全部または処分することができると認められています。
相続においては遺言者の意思が最優先されるため、遺言書の内容は遺産分割協議や法定相続分に優先します。
遺言があれば、基本的に遺言通りに遺産を分けることになります。
兄弟姉妹に遺産を相続させたくない場合は、遺産を兄弟姉妹以外の人に遺贈する旨の遺言書を作成しましょう。
兄弟姉妹には遺留分がありませんので、遺産分割の際に遺留分侵害額請求をすることができません。
・兄弟姉妹以外の人に生前贈与しておく
生前贈与をして相続開始の時までに財産を減らしておくという方法があります。
生前に兄弟姉妹以外に相続財産を贈与しておけば、相続開始のときに相続財産となりませんので兄弟姉妹が相続財産を受け取ることはありません。
ただし、生前贈与によって遺留分を侵害する可能性がありますが兄弟姉妹には遺留分はありません。
・兄弟姉妹が相続欠格事由に該当していないか?
相続に関して不正を犯して財産を手に入れた場合などには、相続人の相続する権利がありません。
このことを相続の欠格といいます。
民法891条で相続欠格の事由が規定されています。
①殺人罪又は殺人未遂罪を犯し、実刑に処せられる場合、相続欠格となります。
②被相続人が殺害された場合に、相続人がその犯人を知っていながら告発や告訴をしなかった場合、相続欠格となります。
③被相続人が最終の意思表示である遺言や、遺言の取り消し・変更をしようとしていることを知り、それを詐欺・恐喝で妨害すると、相続欠格事由になります。
④被相続人に対して、直接に詐欺や脅迫を加え、被相続人に遺言に関する行為を強要させたときは相続欠格事由になります。
⑤既にある遺言書を、自分に有利になるように、偽造・変造・破棄・隠匿の行為に及んだ場合は相続欠格事由になります。
これらに抵触する事実を行ってしまった場合、「欠格者」となり、財産する権利は奪われます。遺言書があったとしても相続財産を受けとることはできません。
独身の方が兄弟の子(甥・姪)にも財産を渡したくない場合の対処法
代襲相続とは、被相続人が死亡した時に、相続人となるべき人が、相続開始以前に死亡した等により相続権を失った方の子どもが代わって相続することをいいます。
新たに相続人となった人を代襲相続人といいます。既に死亡した、または相続権を失った相続人を被代襲者といいます。
被相続人の兄弟姉妹が相続人となるはずであったものの、その兄弟姉妹が死亡していた場合には、その兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)までしか代襲相続は生じません。 つまり、被相続人の甥・姪が死亡していた場合でも、甥・姪の子が相続人となることはありません。
被代襲相続人が相続欠格の事由で相続権を失っていた場合、その子どもは代襲相続人となりますので注意が必要です。
代襲相続人となった甥姪にも遺留分はありませんので、遺贈や生前贈与などの対策をしておく必要があります。
遺言作成や生前贈与での大事なポイント
まずは、誰に財産を渡すのかをご検討ください。
これまでお世話になった方やお友達に財産を譲りたいという希望があろうかと思います。
病気やけがの治療などでお世話になった病院などの医療機関に寄付をしたい。
日常生活上の支援などでお世話になった福祉施設や介護施設に寄付をしたい。
営利を求めず、市民が抱える社会課題の解決へ向けた活動をしている公益法人や非営利団体へ寄付をしたい。
故郷を追われ、危険な旅を強いられている難民を救うため、恵まれない子供たちを救うために国際的な人道支援を行っているNPO法人に寄付をしたい。
ご自身がこれまで生活してきた市町村を含めた地方公共団体に寄付をしたい。
仏事などでお世話になった寺院などの宗教法人に寄付をしたい。
様々な考えをもって相続人以外の団体に財産を譲りたいと希望する方もいらっしゃると思います。
お世話になった方にどういう形で財産を譲りたいかを改めてお考えになっていただくことが大事です。
独身の方のための死後事務委任
独身の方でいざとなったときに身近に頼れる人がいない方が亡くなった際に、葬儀の手続き、お墓のことや住まいのこと、行政関連の手続きなど、さまざまな事務手続きが必要になります。
通常は死後に必要な葬儀の手続き、親族や友人、知人への連絡、お墓や住まいのこと、行政関連の手続き、医療費や施設利用料の清算等は親族が行うことがほとんどです。法律においてもそのことを前提に作られています。
おひとりさまやいざとなったときに身近に頼れる人がいない方が亡くなった際に、親族以外の方にそれらを依頼する準備をしておかないと、周りに多大な迷惑や負担をかけてしまうことになってしまいます。
自身の死後に周りに迷惑をかけずにすむように準備しておくための対策として、親族以外の方に死後の事務手続きを依頼するための「死後事務委任契約」を締結し、信頼できる方に死後の死後の事務手続きお願いできるようにしておくこともご検討ください。
まとめ
独身の方が兄弟姉妹に相続させたくない場合には事前の相続対策が必要となります。
遺言書の作成や生前贈与を行う場合にも後々トラブルにならないか不安や心配がある方は専門家に相談することをおすすめいたします。
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