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家族がもめない遺言作成のポイント
家族が遺産分割協議で揉めてしまうことはよくあります。そして争いになるのに財産の大小は関係ありません。今、家族の関係が円満なのは家族にとってご自身が求心力となっているからではありませんか?
大切な家族が自分の築いてきた財産の相続方法を巡って揉めてしまうなんて絶対に回避したいところですよね。
遺産相続において紛争を未然に防ぐには遺言書を作成することが有効となります。
一定の財産をお持ちの方は、その財産の価額が多い少ないにかかわらず、また家族の中が良い悪いにかかわらず遺言書を作成しておくことをお勧めします。
相続財産によって残された家族の関係性がわるくならないために、揉めない遺言書を作成しておくことが大事です。
揉めない遺言作成、つまり円満かつ円滑な相続を実現する遺言作成のポイントをご紹介したいと思います。
■遺留分に配慮した遺言内容にする
遺留分とは、遺言で財産の分配について自由に決められるといっても、本来権利のあったはずの一定の相続人にとって、極端に不公平な結果となることを防止するために遺言における自由な財産処分に制限を設けて、遺留分は兄弟姉妹以外の相続人に保障される最低限の相続財産の権利のことを言います。
遺留分は、相続財産を最低限保障されている権利です。ただし、権利があってもそれを行使するかどうかは相続人の自由です。自身の遺留分を侵害されていても、権利を行使しなければ相続内容は変わりません。
遺言作成にあたってはこのようなことからも遺留分に配慮した遺言内容にすることが円満円滑な相続のポイントとなります。
遺留分は、亡くなった人の兄弟姉妹以外の法定相続人に認められた制度です。
具体的には、以下の範囲の相続人が対象となります、
・配偶者の遺留分割合
・子ども、孫などの直系卑属
・親、祖父母などの直系尊属
■遺留分の割合
遺留分の割合は、誰が相続人となるかで割合が異なります。
子どもが2人以上いる場合など、同順位の相続人が複数人いる場合には等分します。例えば、配偶者と子ども2人が相続人の場合は、以下の通りです。
配偶者の遺留分割合:4分の1(2分の1×2分の1)
子ども一人あたりの遺留分割合:8分の1(2分の1×2分の1×2分の1)
子どもや配偶者等は、被相続人が亡くなったときに遺産を相続する権利を持っています。そしてこの権利は遺言によって奪うことはできません。ゆえに遺言によって特定の人に遺産のすべてを遺贈されたりした場合でも一定の範囲の相続人は、遺留分侵害額請求をすることによって必ず一定の財産を取得できます。
実際に、遺言書によって確定させている遺産分割の内容に対して遺留分侵害額請求権を権利行使した場合に遺留分侵害額請求をした方も請求された方も非常に気まずい気持ちになることは容易に考えられます。
このようなことから遺留分侵害額請求権の行使により、家族の関係が悪くなってしまうというリスクも存在します。
ですから遺言作成にあたっては、法定相続人に対して遺留分に相当する財産を残せるような内容にしておくことが後々の相続トラブルやその後の家族の関係が悪化することを未然に防ぐことにつながります。
■付言事項を遺言書に記すこと
付言事項とは、遺言書の中で記載内容自体が直接に法的効力を及ぼすことはありませんがさないものの、遺言者の家族への感謝や家族や自分が大切にしてきたものへの気持ちや願いなど必要な伝達事項を記載しておく項目のことをいいます。単に遺産分割について分割方法や分配割合の指示を遺言書に記載するだけでなく、どうしてこのような遺言内容にしたのか、その理由を家族等への感謝のメッセージとともに付言事項と共に記してもらうことで相続人たる家族等の納得と理解が得られやすく、円満な相続に繋がることへの一助となります。
■遺言書に遺言執行者を指定しておくこと
遺言執行者とは遺言者が亡くなられた後、遺言書の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為を有する責任者のことです。
遺言執行者には、相続人の一人やそれ以外の親族の方、相続人の委任を受けた専門家等が担うケースがあります。特別な資格は必要ありませんので誰でもなることができますが、民法1009条により未成年と破産者はなることができません。遺言執行者の実務内容としては、遺言の内容に基づいて遺産の名義変更を実行することや、相続人に対し、遺言書の内容の開示や相続財産目録の作成および交付を行うなど、相続手続き全般において非常に重要な役割を担っております。遺言による相続手続きを円満円滑に行うためには法律の知識と正確な事務処理のスキルが必要になるでしょう。
遺言執行者の選定は遺言書を作成する親自身が遺言書の中で指定することが原則になります。親が残した遺言書に遺言執行者が指定されていないことが多々あるといった実態もあります。
そのためご自身が遺言書を作成するにあたっては「遺言執行者の指定をする」ということを検討することをおすすめいたします。
また遺言執行者には誰がふさわしいかを慎重に検討しておく必要があります。相続人となる方の中から遺言執行者に指定しておいていただくことも可能です。一方で、相続人同士の関係性を考慮した場合、公正中立な第三者で、法律の専門家を指定しておくことによって円満かつ円滑な相続手続きを実現できることもあります。実際に遺言作成するご自身とご家族、そして遺言作成を支援する専門家を総合考慮した上で最適かつ最善の遺言執行者の指定をされることをお勧めします。
■公正証書で作成してもらうこと
遺言書作成において最も一般的な方法として自筆証書遺言、公正証書遺言があります。
この2つのうちお勧めしたいのが公正証書遺言となります。
それぞれの遺言書のメリット、デメリットは以下となります。
・自筆証書遺言のメリットは、
①自分1人でいつでも書ける。
②どこでも書ける。
③作成するのに手数料がかからない。
④修正や書き直しが簡単にできる。
⑤遺言の内容を誰にも知られないようにできる。
・自筆証書遺言のデメリットは、
①財産目録以外はすべて手書きしなければならない。
②作成した遺言の内容に不備があった場合、遺言が無効になることがある。
③紛失したり、せっかく遺言書を作成しても見つけてもらえなかったりする可能性がある。
④変造、偽造や、破棄されるリスクがある。
⑤遺言者が亡くなったとき、家庭裁判所で「検認」を受ける必要がある。
⑥死後に有効性が争われる可能性がある。
・公正証書遺言のメリットは、
①法律の専門家の公証人が作成するため形式上の不備で無効になることがない。
②法律の専門家の公証人に作成してもらえるので、自分で文字を書く必要がなく、書き間違える心配がない。
③公証役場で保管されるので、紛失、変造、偽造、破棄などのリスクがない。
④家庭裁判所の「検認」が不要で、すぐに遺産分割ができる。
などです。公正証書遺言なら、安全・確実に遺言を残せます。
・公正証書遺言デメリットは、
①公証役場へ行かなければならない。あるいは、公証人に指定の場所に来てもらわなければならない。
②作成するのに手間がかかる。
③証人が2人必要。
④相続する財産の額に応じて手数料がかかる。
公正証書遺言の方が、自筆証書遺言に比べて、高齢の遺言者に対して負担を軽減できるということが言えると思います。
公正証書の場合、遺言者自身が実際に書くのは名前だけで、それ以外の文面というのはあらかじめ公証役場で作成しておいていただけますので負担が軽減されます。
また遺言者がご自宅や施設や病院などにいらっしゃる等の理由で公証人役場に赴くことができない場合は、公証人の出張サービスを利用することができます。
また、公正証書遺言は、様式不備で無効になる恐れが極めて少ないと言えます。そして、相続開始後の手続きの手間が自筆証書遺言の場合と比べて非常にスムーズに進めることができます。
公正証書遺言には、自筆証書遺言にはない、公正証書特有の高度な証明力というものがあり、相続人等の納得が得られやすいということもあります。
私も自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらがおすすめかと問合せをいただいた場合は公正証書遺言をおすすめさせていただいています。
■家族全体に親の想いを伝える機会をつくること
家族会議等で親自身が相続人全員に対して、万が一のときのご自身の意思・決定をご自身の言葉で伝え、納得を得ておくことが円満相続の実現のために大変重要です。
家族に相続内容について納得してもらうためにご自身の財産をすべて明らかにし、財産の分け方について理解を得ましょう。
それが後々の家族の相続争い等のトラブルの回避につながります。
これらのポイントを念頭において、遺言書の作成をご検討をいただくことができれば、円満かつ円滑な相続を実現する一助になろうかと思います。
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