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生命保険の受取人を遺言書で変更できる?
生命保険の契約者、被保険者、受取人の違い
生命保険の契約時に、契約者、被保険者、受取人を決める必要があります。
契約者とは、保険会社と保険契約を結び、保険料の払い込みを行う名義人で、契約内容等を変更することができる人です。また、保険を解約した時に解約返戻金を受け取るのは契約者です。
被保険者とは、保険の対象になる人で、保険がかけられている人のことです。生命保険では、被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態となった場合に、受取人に対して死亡保険金または高度障害保険金が支払われます。
生命保険の保険金や給付金を受け取る人のことを、受取人といいます。生命保険では、受取人と契約者・被保険者が同じケースもあれば、異なるケースもあります。ただし、死亡保険の場合、死亡保険金が支払われるのは被保険者が亡くなった後のため、受取人と被保険者を同一人物にすることはできません。
生命保険の受取人は遺言で変更ができる
契約者(保険料負担者)は、原則として死亡保険金の支払事由が生じるまでであれば、保険金受取人を変更することができます。 ただし受取人を変更するには、被保険者の同意が必要です。
また生命保険の受取人の変更は遺言書によってもすることができます。
平成20年に定められた保険法によって遺言書によって生命保険の受取人が変更できるようになりました。
例えば、生命保険の受取人を妻としていた場合、遺言書に長女に変更することを記載します。
生命保険の受取人を変更する旨を遺言書に記載する内容
遺言で生命保険の受取人を変更する場合には、生命保険の証券番号、契約締結日、保険会社、保険契約者、被保険者、死亡保険金受取人を記載しますので保険証券の確認が必要です。
遺言者が死亡して、相続が開始した際に、一般的には遺言執行者が保険会社に遺言で保険金受取人の変更を定めている旨を通知しなければなりません。
相続人以外の第三者に受取人を変更したい
相続人以外の第三者に受取人を変更したいということもあると思います。
例えば、内縁の妻や、お世話になった知人、医療機関、福祉施設や慈善団体などです。
生命保険の受取人を遺言書で変更することは保険法に定められていますが、その変更の範囲については、原則として保険約款で定めらている範囲の中でしか変更をすることができません。
生命保険の受取人は、基本的に戸籍上の配偶者と2親等以内の血族または2親等以内の親族です。2親等以内には、子と両親、祖父母・孫・兄弟姉妹が含まれます。
近年、人生観や価値観を含めた個人の生き方や多様性の尊重などにより例外とされている第三者を受取人に指定できる保険会社も増えてきました。
受取人の変更についての遺言書を作成する前に、保険約款を調べたり、保険会社に確認するなどして事前に受取人の範囲や制限の有無を調査する必要があります。
保険契約者と被保険者が異なる場合は、受取人の変更について保険契約者と被保険者の双方の同意が必要となります。
遺言書で生命保険の受取人変更をする際の注意点
生命保険は相続財産に含まれるのか?
生命保険は相続財産ではなく、受取人固有の財産であり、相続財産とはなりません。
相続財産にならないということは遺留分の対象ともなりません。
従って、遺言書で誰に、どれぐらいの遺産を相続させるのか等の指定をする必要はありません。
速やかに保険金受取人の変更通知を
遺言書で保険金の受取人を変更することができますが、遺言の内容については保険会社も知りません。変更前の受取人にも事前に伝えていない限り知ることができません。
保険法では、「遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができない。」と定められています。
そのため遺言で新たに受取人に指定された方の保険会社への手続きが遅い場合、変更前の受取人が保険会社に保険金の請求を行い、変更前の受取人に保険金が支払われてしまうことになりますので注意が必要です。
遺言による保険金受取人の変更があった場合、保険契約者の相続人は直ちに保険会社に通知をしましょう。
このリスクを回避するには生前に保険金の受取人の変更をした方がよいでしょう。
遺言書の無効の主張をされることがある
保険契約の保険期間が進行中に保険金受取人の変更があった場合に保険契約者の意思能力の有無が争われる事案が多くなっています。
つまり変更前の受取人から遺言者が認知症などで、遺言内容やその効力を理解できる能力を欠いていたなどと遺言書の無効を主張される場合があります。
遺言者の意思能力が欠けている状態で作成された遺言書は無効となります。
自筆証書遺言は第三者に関与されることなく一人で作成することができるためこのように遺言書の無効を主張されることがあります。
公正証書遺言の場合は、公証人が遺言者との面談で意思能力を確認した上で遺言書が作成されますので遺言書の無効を限りなく排除することができます。
生命保険の受取人を遺言で変更する場合は公正証書遺言で行う方がより安全です。
まとめ
遺言書によって生命保険の受取人の変更を行うことができます。
しかし変更前の受取人との相続トラブルに発展したり、保険会社への受取人変更の通知の遅れから変更前の受取人が保険金を受け取ってしまったりすることがあります。
そのようなことがないように生前に生命保険の受取人を変更しておくことがおすすめです。
また遺言書で確実に生命保険の受取人変更を実現するために証拠能力が高い公正証書遺言を作成することが望ましいです。
遺言書で生命保険の受取人を変更することに心配や不安のある方は専門家に相談することをおすすめいたします。
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