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自筆証書遺言の書き方
遺言書を作成したいと思っているのに実際に遺言書を作成する人はごくわずかです。
日本公証人連合会によると令和4年の遺言公正証書の作成件数が11万1977件だったそうです。
生命保険文化センターの2022年度「生活保障に関する調査」によると、生命保険に加入している人は、男性では77.6%、女性では81.5%となっています。
自身の死後のことを考えて生命保険には加入する方が多いですが、遺言書を作成する方は少ない傾向にあります。
その理由は、「自分の資産が少ない」「まだ元気だから」「手続きが面倒」などさまざまです。
いざ遺言書を書きたいと一念発起したが、どうやって書いたらよいかわからないという方も多いそうです。
自筆証書遺言のメリットとデメリット
そのメリットとしては、
・自分1人でいつでも書ける
・どこででも書ける
・作成するのに手数料がかからない
・修正や書き直しが簡単にできる
・遺言の内容を誰にも知られないようにできる
などです。気軽に書けるのが何よりのメリットです。
一方、デメリットは
・財産目録以外はすべて手書きしなければならない
・作成した遺言の内容に不備があった場合、遺言が無効になることがある
・紛失したり、せっかく遺言書を作成しても見つけてもらえなかったりする可能性がある
・変造、偽造や、破棄されるリスクがある
・遺言者が亡くなったとき、家庭裁判所で「検認」を受ける必要がある
・死後に有効性が争われる可能性がある。
※「検認」とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせることおよび,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続をいいます。注意が必要なことは、遺言の有効・無効を判断する手続ではないことです。
自筆証書遺言の書き方
・全文を自筆で書く
自筆証書遺言では基本的に全文を遺言者が自筆することが必要です。
ただし財産目録は除きます。
・日付、署名、押印が必要
日付(年月日)、氏名を自書して押印があることを確認しましょう。
遺言の作成日付は、日付が特定できるよう正確に記載します。
例)「令和3年3月吉日」は不可(具体的な日付が特定できないため)。
押印は実印でなくてもかまいません。
どれかが欠けると遺言は無効になります。
・加除訂正は方式の通りに行う
遺言書が間違っている場合、訂正をすることができます。ただし、訂正する際には、必ず守るべき要件が民法で定められていますから、注意が必要です。
その要件(民法968条)とは、①遺言者が②その場所を指示し③これを変更した旨を付記して④特にこれに「署名」しかつ、「その変更の場所に印」を押さなければ、その効力を生じないというものです。
訂正の内容がルールに従っていないときには、遺言の訂正は無効となってしまう恐れがあります。その結果、修正や加筆がなかったことになるため、「誤りや漏れがあるままの遺言」が、法的に有効になってしまいます。ですから遺言書の訂正を行う場合にはルールを把握した上で慎重に行うということが重要です。
・用紙は自由
どんな紙でも有効ですが長期的な保存に耐えられるものがよいです。市販のものがよいと思います。
法務局で遺言書を保存・管理する「遺言書保管制度」を利用する場合には、以下のルールがあります。
サイズ:A4サイズ
模様等:記載した文字が読みづらくなるような模様や彩色がないもの。一般的な罫線は問題ありません。
余白:必ず、最低限、上部5ミリメートル、下部10ミリメートル、左20ミリメートル、右5ミリメートルの余白をそれぞれ確保してください。
・筆記用具は自由。
鉛筆やシャープペンシルなどは避けて、ボールペンや万年筆、サインペンなど改ざんされにくいものを使いましょう。長期保存しても大丈夫なように耐久性のあるインクがおすすめです。
・内容は具体的にわかりやすく
相続財産を把握し、相続人に相続させる相続財産の割合を決めましょう。
誰にどの相続財産を相続させるのか、わかりやすく書きましょう。
遺言として法的効力のある事項は、身分に関すること、財産の処分に関すること、相続に関することとなります。
・下書きをしてから清書する
遺言の文例集などを見ながら下書きをしましょう。下書きをすることで誤字、脱字を防ぐことができます。
下書きで必要事項が書かれていることを確認し、ペンで正式な遺言書を書きます。
・財産目録
財産目録とは、被相続人の相続財産について、どのような種類がどれだけあるかを一覧整理した書類です。
自筆証書遺言は2020年7月から、パソコンなどで作成した財産目録や、不動産登記簿や通帳コピーなど既存の資料を利用できるようになりました。
・用紙が複数枚になったら
遺言書の用紙が数枚になるときは、契印(割り印)をしましょう。
遺言書が複数(2枚以上)にわたる場合、ホチキスなどで順番に綴じ、用紙と用紙の間に署名押印の際に使用する印鑑で契印(割り印)を押しておきましょう。
・封印をする
自筆証書遺言の場合は封筒に入れる必要はありません。
しかし後日のトラブルを避けるために、遺言書に使った印鑑で封印することをおすすめします。
まとめ
遺言書の書き方については多くの書籍がありますが実際に作成するには、専門的な知識が必要となります。
せっかく書いた遺言書が無効にならないように専門家に相談することをおすすめいたします。
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