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同性パートナーに財産を譲る4つの対策

同性パートナーの相続権

被相続人が遺した財産を相続する権利のある人を法定相続人といいます。

相続が発生した場合、誰が法定相続人になるかということは民法で定められており、その法的範囲に該当しない人は原則として相続を受けることができません。

死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。

【第1順位】死亡した人の子供

その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。

【第2順位】死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)

父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。

第2順位の人は、第1順位の人がいないときに相続人になります。

【第3順位】死亡した人の兄弟姉妹

その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。

第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。

民法が法定相続人として規定する配偶者とは、婚姻届を出した婚姻によって生じる地位で、法律上の婚姻関係にある夫または妻のことを指します。

内縁の配偶者や同性のパートナーなどは法律婚ではないため法律的な配偶者ではありません。

各自治体による独自のパートナーシップ制度によって「結婚に相当する関係」とする証明を受けていたとしても、民法が規定する配偶者とはなりません。

したがって、原則では被相続人の財産は法定相続人が引き継ぐことになり、法定相続人ではない同性のパートナーは、相手方のパートナーの財産を相続することはできません。

同性パートナーがいる場合の相続の対策

同性パートナーがいる場合には以下の対策が有効です。

①遺言書を作成する

遺言書を作成することは、同性同士のパートナーの場合でも有効な相続対策となります。遺言書を作成することによって法定相続人ではない同性パートナーに対して財産を残すことが可能になります。

遺言書の形式としては、主に自筆証書遺言と公正証書遺言があります。

公正証書遺言は、法律を熟知した公証人によって作成され、公証人役場で保管されますので自筆証書遺言より確実性が高いです。

相続人等と遺言の有効性で争いになることを回避するためにも、できる限り公正証書遺言を作成しておきましょう。

遺言書がある場合で、遺言者が相続の内容について記載がされていた場合、その内容に沿って遺産分割を行うことになります。相続においては遺言者の意思が最優先されるため、遺言書の内容は遺産分割協議や法定相続分に優先します。

遺言書を作成する際には、パートナーの相続人の遺留分にも配慮する必要があります。遺留分とは、一定範囲の相続人のために、相続に関して法律上取得することが保障されている相続財産保留分のことをいいます。尚、一定範囲の相続人に兄弟姉妹は含まれません。

遺言の内容によっても遺留分までは侵害することはできません。

遺産を誰に、どのように相続させるかは遺言者が遺言で指定できますが、特定の人へ財産を集中し承継させる場合は、他の相続人の遺留分を侵害することがあるために注意が必要となります。

②養子縁組をする

同性のパートナーと養子縁組をすることによって、パートナーに相続する権利を与えることができます。

養子縁組は血縁関係のない者との間に法律上の親子関係を成立させることができます。

20歳以上であれば家庭裁判所の許可を得ずに養子縁組をすることができます。年長者を養子にすることはできないので、年上の方のパートナーが養親、年下の方のパートナーが養子になります。養子は養親の氏を称すると定められているため、養子になったパートナーの氏は養親の氏に変わることになります。養子縁組をする方法は養子縁組届書を養親または養子となる方の本籍地または所在地の市区町村役所の届出場所に提出して行い、戸籍にも記載されます。養子縁組届の証人として成人2名の署名が必要です。

養子縁組をすることによって養親が亡くなった時には養子、養子が亡くなった時には養親が相続人として財産を相続することが可能となります。

③死因贈与

死因贈与によって同性のパートナーに財産を譲ることができます。

死因贈与とは、贈与者が死亡することによってあらかじめ取り決めていた財産を特定の人へ渡すことを約束した契約行為です。贈与者(財産を与える人)が生きている間に、受贈者(財産を受け取る人)と合意していることが条件となります。死因贈与契約は贈与者が死亡することによって、死因贈与契約の効力が発生します。

民法でも、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用することとなっており、遺贈と同じような効果をもたらせます。

尚、不動産を贈与によって取得した場合、受遺者は、贈与者の死亡後に所有権移転登記をしなければ第三者に対して自分の権利を主張することができませんので注意が必要です。

④生命保険

相続対策としてよく使われる方法として、法定相続人以外の方を生命保険の受取人にするということもできます。

生命保険金は、法律上は遺産とはならず、生命保険の受取人固有の財産となりますので遺産分割協議の対象とはなりません

生命保険の受取人にすることによって同性パートナーに財産を残すことができます。

LGBTQ等への理解が広まるにつれて、同性パートナーを受取人として認める保険会社が近年増加傾向にあります。パートナーシップ証明書があると同性パートナーを受取人として保険加入がしやすくなることがあります。

また、生命保険金は遺産ではなく遺産分割の対象にならないので遺産の分け方でもめるという相続トラブルを防ぐことができます。

ただし、相続人ではない同性パートナーが遺産を相続した場合は、相続税がかかるので注意が必要です。

まとめ

現代の法律では同性パートナーは法定相続人ではありません。

しかしながら同性パートナーに財産を相続させる方法はいくつかあります。

しかしそのことによって他の相続人とトラブルになる場合があります。

トラブルを回避するには事前の準備が必要になります。

また様々な方法を組み合わせることで同性パートナーに財産を譲るための対策をすることができます。

最適な対策を講じる場合には専門家に相談することをおすすめします。

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著者行政書士浜田政克
浜田政克行政書士事務所
(大阪府豊中市)

自身の相続に係わる経験から一念発起し、豊中市東豊中町にて行政書士事務所を開業。
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情報セキュリティ、個人情報保護法に精通し、「デジタル社会に迅速に対応できる法律家」として日々研鑽を積み重ねております。

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