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遺言書の検認とは
遺言書の検認とは
「検認」とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
遺言書の検認については民法に定められています。
第1004条
- 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
- 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
- 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
遺言の種類
遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。
①自筆証書遺言
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければなりません。要件を確認(全文自書、日付、署名、捺印)し、紙とペンで自ら遺言書を書き捺印します。
また法務局の遺言書保管制度を利用する方法もあります。法務局が遺言者の死亡を確認した場合、遺言書が法務局で保管されていることを申請時に指定した相続人等に通知するサービスもあります。
②公正証書遺言
公証役場の公証人の前で作成する遺言書のことです。公正証書遺言は、遺言者本人が、公証人と証人2名の前で、遺言の内容を口頭で告げ、公証人が、それが遺言者の真意であることを確認した上、これを文章にまとめたものを、遺言者および証人2名に読み聞かせ、または閲覧させて、内容に間違いがないことを確認してもらって、遺言公正証書として作成します。公正証書遺言の原本は公証人役場で保管されます。
③秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言者が、遺言の内容を記載した書面に署名押印をし、これを封筒に入れて、遺言書に押印した印章と同じ印章で封印をした上、公証人および証人2名の前にその封書を提出し、自己の遺言書である旨ならびにその筆者の氏名および住所を申し述べ、公証人が、その封紙上に日付および遺言者の申述を記載した後、遺言者および証人2名とともにその封紙に署名押印をすることにより、作成します。
遺言書の検認が必要な場合と必要でない場合
遺言書の検認が必要になるのは、本人等が保管していた自筆証書遺言または秘密証書遺言です。
遺言書の検認が必要ないのは、法務局の遺言書保管制度を利用している自筆証書遺言または公正証書遺言です。
遺言書の検認をしない場合のリスク
①違法行為として罰則が科せられる
遺言書を見つけたとしても勝手に開封してはいけません。
遺言書の検認前に開封してしまった場合には過料の対象となることがあります。
過料については民法に定められています。
第1005条
前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、5万円以下の過料に処する。
②遺産の相続手続きができない
預貯金の解約手続きや不動産の名義変更など遺産相続に係る様々な手続きには、検証済証明書の提出が求められます。そのため遺言書の検認をしないと相続手続きができません。
検証済証明書は、家庭裁判所に検認を請求することで発行されます。
③他の相続人とのトラブルの原因となる
遺言書の検認を受けず勝手に開封した場合でも、遺言書が無効となるわけではありません。
遺言書を勝手に開封した後に家庭裁判所による検認の手続きを行った場合に、他の相続人から遺言書の偽造や変造を疑われるかも知れません。もし遺言書の内容が自分にとって有利で他の相続人にとって不利だった場合に、他の相続人が遺言書の無効を訴えることも考えられます。
無用な争いを避けるために、遺言書と思われるものを発見した時は決して勝手に開封することなく、家庭裁判所での検認をしましょう。
遺言書の検認手続き
検認の具体的な手続きは以下になります。
①申立てに必要な書類を揃える
申立てに必要な書類
・申立書
・遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍、改製原戸籍)
・相続人全員の戸籍謄本
・遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本(除籍、改製原戸籍)
※相続人が遺言者の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合
・ 遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る)で死亡している方がいる場合,その直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍,改製原戸籍)
※相続人が不存在の場合,遺言者の配偶者のみの場合,又は遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(甥姪)(第三順位相続人)の場合
・ 遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍,改製原戸籍)
・ 遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍,改製原戸籍)
・ 遺言者の兄弟姉妹で死亡している方がいる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍,改製原戸籍)
・ 代襲者としての甥姪で死亡している方がいる場合,その甥または姪の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍,改製原戸籍)
②家庭裁判所へ検認を申立てる
必要書類を集めたら、申立人が、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に検認の申し立てを行います。
申立人は検認当日に裁判所に赴く必要があります。当日の検認手続きに出席できる方が申立人になりましょう。相続人全員が揃わなくても検認の手続きは可能です。
検認の申立ては家庭裁判所に持参してもよいですし、郵送ですることもできます。
必要書類と申立手数料800円(申立書に貼付)、連絡用郵便切手(相続人への通知用))を用意しましょう。
③家庭裁判所より検認期日の通知が届く
検認の申立てを行った後、数週間から1ヶ月ほどで家庭裁判所から検認期日の連絡が入ります。日程調整後、検認期日通知書が家庭裁判所より届きます。
④家庭裁判所での検認に立ち会う
検認期日に家庭裁判所へ行き、出席した相続人等と裁判官が立会い遺言書を開封の上、遺言書を検認します。検認にかかる時間は10〜15分程度が一般的です。
検認当日の持ち物は以下になります。
・開封前の遺言書
・印鑑(認印)
・身分証明書
・収入印紙150円分
・検認期日通知書等
検認の立会いについては、申立人は出席しなければなりませんが相続人全員が揃わなくても特に問題はありません。
検認期日に欠席した相続人には、後日、検認が終了したことを知らせる「検認済通知」が送られます。
⑤検認済証明書の申請
遺言書の検認が完了すれば検認済証明書の申請をすることができます。
検認済証明書は金融機関での預貯金の解約や法務局での不動産の名義変更や各種手続きで必ず必要となります。
遺言書の検認についての注意点
①遺言書の効力を判断するものではない
遺言書の検認は相続人に対して遺言が存在することおよびその内容を確認するためのものです。
遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
②遺言書を開封した場合でも検認は必要
遺言書は勝手に開封してはいけません。遺言書の検認をしないで開封してしまった場合は、5万円以下の過料を課される場合があります。
もし開封してしまったとしても検認の申し立てを行って検認済証明書の申請をしましょう。
③遺言書が複数ある場合は全ての遺言書に検認が必要
遺言書が複数ある場合には、すべてに遺言書に検認の申し立てが必要です。遺言書の検認は相続人に対して遺言が存在することおよびその内容を確認するためのものです。遺言の有効・無効を判断する手続きではないからです。
④申立人は検認を欠席できない
検認の立会いについては、申立人は出席が義務つけられており欠席することができませんが相続人全員が揃わなくても特に問題はありません。
申立人は検認期日に出席することができる相続人を選任しましょう。
まとめ
遺言書の検認が終わったら遺言の内容を確認して相続手続きをすることになります。
遺言書の検認にはおおよそ1カ月程度かかります。
相続手続きを速やかに行うために遺言書を見つけたらすぐに検認の申し立てを行いましょう。
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