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夫婦で一緒に遺言書を作成したい【夫婦相互遺言とは】

夫婦相互遺言とは

夫婦相互遺言とは、夫婦間でお互いにもしものことがあった場合にお互いの生活を守ることができるように夫婦それぞれで自身の財産を配偶者に相続させるという内容の遺言書を作成するものです。

特に子のいない夫婦にとっては夫婦相互遺言は有効です。

夫婦で共同遺言の作成は無効

夫婦で遺言書を作成したい場合でも夫婦で同一の証書で遺言を行うことはできません。

民法975条で「遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることができない」と規定されています。この規定によって2以上の者が共同で作成した遺言は無効となります。

夫婦共同の遺言が禁止されている理由

この共同遺言が禁止される理由は、遺言の撤回が自由にできなくなるからです。

遺言とは、自分が生涯をかけて築き、かつ、守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う遺言者の最後の意思表示です。

そしてその意思表示はいつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができます。

共同遺言を認めてしまうと、遺言者がそれぞれに遠慮してしまい自由な意思表示に基づいて撤回することを妨げてしまいます。また、共同で作成するということは共同で撤回しなければならないため夫婦の一方が志望した場合にその遺言を撤回することができなくなってしまい、遺言撤回の自由が守られなくなるからです。

夫婦で遺言書を作成するには

夫婦で遺言書を作成するには、それぞれ別の遺言書を作成することが必要です。

夫婦相互遺言とは、夫婦がお互いに全財産を相手に相続させる旨の遺言を作成することです。

特に、子のいない夫婦では遺言書はとても有効です。

夫婦に子供がいない場合の法定相続人

法定相続人とは、民法で定められており、被相続人の遺産を相続できる人です。遺言書があれば、相続できる人は法定相続人以外が相続人となることがありますが、遺言書がない場合は基本的に法定相続人全員で遺産分割について協議し、どのように相続するかを決めることになります。

配偶者

被相続人の配偶者は、常に法定相続人となります。この場合の配偶者とは、法律上婚姻していることが絶対条件となります。

事実婚、内縁関係の場合や元配偶者は配偶者とは認められません。

第1順位:父母・祖父母

直系尊属である父母が相続人になります。父母ともに健在である場合は二人、健在なのがいずれか一方であれば一人が相続人になります。

父母が亡くなっている場合で祖父母が健在の場合は、祖父母が相続人となります。

第2順位:兄弟姉妹・甥姪

父母・祖父母が全員亡くなられていた場合は、被相続人の兄弟や姉妹、または甥・姪が相続人になります。兄弟姉妹には代襲相続の規定が適用されるため、父母・祖父母がおらず、兄弟姉妹が亡くなっている場合に甥や姪が相続人となります。

つまり、夫婦に子供がいない場合の法定相続人は

・父母または祖父母が健在の場合

配偶者と父母または祖父母が法定相続人となります。

・父母と祖父母が亡くなっていて、兄弟姉妹がいる場合

配偶者と兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥姪)が法定相続人となります。

・父母と祖父母が亡くなっていて、兄弟姉妹がいない場合

配偶者のみが相続人となります。

法定相続人の遺留分

被相続人が配偶者以外の相続人に相続財産を相続させたくないと考えたとして、その意思表示をしたとしても他の相続人の相続権を奪うことは非常に難しいです。

なぜなら、一定範囲の相続人には遺留分が認められるからです。

遺留分とは、一定範囲の相続人のために、相続に関して法律上取得することが保障されている相続財産保留分のことをいいます。

遺産を誰に、どのように相続させるかは遺言者が遺言で指定できますが、特定の人へ財産を集中し承継させる場合は、他の相続人の遺留分を侵害することがあるために注意が必要となります。

ただし、遺留分を侵害した贈与や遺贈などは、法律上当然に無効となることはありません。そして遺留分権利者が遺留分侵害額請求を行った場合は、その遺留分を侵害する限度で効力を失うことになります。要するに配偶者や子供に財産を相続させないという趣旨の遺言書を作成しても、配偶者や子供に遺留分侵害額請求をされたら遺留分に相当する金銭を取り戻されてしまうことになるのです。

尚、兄弟姉妹には遺留分がありません。兄弟姉妹に財産を相続させたくない場合には、遺言書によって兄弟姉妹に財産を相続させない旨の内容を書いていれば、兄弟姉妹に財産を相続されることはありません。

夫婦で遺言書を作成する注意点

夫婦でそれぞれ1通ずつ遺言書を作成します。

自筆証書遺言もしくは公正証書遺言を作成しますが、公正証書遺言がおすすめです。

公正証書遺言は法律の専門家である公証人が作成するため形式上の不備で無効になるおそれがありません。公正証書遺言は自筆証書遺言と比べて安全で確実に遺言を残せます。

夫婦の一方が亡くなった場合

夫婦の一方が亡くなった場合に夫婦相互遺言を作成しておくことによって残された配偶者が相続財産を引き継ぐことができます。

夫婦の一方が亡くなって、おひとりさまになってしまった方は更に遺言書の作成をしておくことを検討する必要があります。

おひとりさまが亡くなった場合に遺産や遺品がどのように処分されてしまうのか不安な方もいらっしゃると思います。

終活で重要なのが相続への準備です。そのために遺言書をきちんと作成しておくことは非常に重要なことです。

まとめ

相続においては遺言書がない場合、残された相続人は相続人の調査、相続財産の調査、遺産分割協議など相当な負担がかかります。

夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が速やかに遺産を受け取り、住居や生活資金の確保ができるようにお互いに健康でいる間に対策を行うことが大事です。

そのためにも夫婦で相互に遺言書を作成しておくことは有効です。

不安な点やわからないことがある場合はぜひ専門家に相談することをおすすめいたします。

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著者行政書士浜田政克
浜田政克行政書士事務所
(大阪府豊中市)

自身の相続に係わる経験から一念発起し、豊中市東豊中町にて行政書士事務所を開業。
遺言作成、相続手続きサポート、成年後見を中心にお客様に安心してご依頼いただけるワンストップサービスを行っております。
情報セキュリティ、個人情報保護法に精通し、「デジタル社会に迅速に対応できる法律家」として日々研鑽を積み重ねております。

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