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死後離婚のメリット、デメリット

死後の離婚について

死後離婚とは、夫婦の一方が亡くなった場合に、生存配偶者が死亡した配偶者の血族との姻族関係を終了させるための届出のことです。

一方の配偶者と他方の配偶者との血族との関係を姻族といい、具体的には義理の父親、母親または義理の兄弟姉妹を指します。配偶者が亡くなったとしても姻族関係は続きますが死後離婚すると姻族関係が終了します。

死後離婚の正式名称は市区町村役場へ提出する「姻族関係終了届」の手続きを指します。

法務省の戸籍統計によると姻族関係終了の届出件数は2014年度は約2200件でしたが2023年度は約3100件と4割ほど増加しています。

増加の原因ですが、例えば、少子化による兄弟姉妹の減少、超高齢社会による要介護高齢者の長寿化など配偶者の両親の介護に対する負担から逃れたいと思うことがあるのかもしれません。

生前の離婚と死後離婚との違い

配偶者の生前に離婚すると婚姻関係の解消によって「籍」が抜けて配偶者と他人になります。配偶者の相続人ではなくなるため、遺産を相続する権利がなくなり、遺族年金も受けることができなくなります。

死後離婚では、配偶者の血族との姻族関係が終了するだけで、配偶者との戸籍に変更はありません。婚姻関係終了届を提出しても相続権を失いませんし、遺族年金を受け取ることができます。

死後離婚のメリット

・配偶者の両親の扶養義務がなくなる。

死後離婚をすると配偶者の血族との姻族関係が終了します。したがって義理の両親の介護等の扶養義務の可能性を排除することができます。

法律上、姻族を介護する義務はありません。しかしながら慣習的に義父母の介護を行わなければならないというイメージが強いかもしれません。

死後離婚をするとこういった慣習も気にする必要がありませんので現在または将来の介護に対する不安から免れることができます。

・義父母との同居を解消できる

残された配偶者にとって義父母との折り合いが悪い場合にその義父母との同居は苦痛でしかありません。

死後離婚によって姻族との関係が終了すると、義父母と一緒に暮らす必要がなくなります。

義父や義母との同居にストレスを感じている方は、死後離婚をすることによって安らぎのある生活を取り戻すことができます。

・配偶者の家族関係との付き合いがなくなる

配偶者の家族との関係がうまくいっていないために、これ以上の家族関係を継続していくことは精神的負担となり難しいと思っている場合もあるでしょう。

死後離婚をすることによってこれらの家族関係から法律上、解放されます。

配偶者の家族とのしがらみが絶たれることにより安らぎのある残りの人生を送ることができます。

・お墓や仏壇の管理から解放される

亡くなった配偶者が祭祀承継者であった場合、お墓や仏壇の管理は残された配偶者が行うことが多いです。

また法要などの主催者となって取り仕切ることは相当な負担がかかります。

お墓の管理は費用と労力を要します。お墓をきれいに保つためには定期的にお墓に通わなければなりません。

死後離婚をすることによってこれらの負担から免れることができます。

死後離婚のデメリット

・死後離婚を取り消すことはできない

姻族関係終了届を提出すると撤回することができません。

終了した姻族関係は元に戻すことはできませんので死後離婚をする場合は慎重に検討しましょう。

・義父母のサポートを受けられなくなる

死後離婚すると義父母からの経済的支援はもはや期待できません。生活費や子供の学費などは自分で工面するしかありません。

子供を看護してもらったり、送り迎えをしてもらったり、子育ての面でのサポートも無くなることを覚悟しましょう。

・新しい住まいを探さなければならない

死後離婚によって義父母との同居を解消する場合、新たな住まいを探す必要があります。

時期や転居先の距離や荷物量にもよりますが引っ越しのコストがかかります。

また賃貸物件の場合は家賃以外にも初期費用がかかります。

同居の解消のためにはこれらのコストをあらかじめ準備しておく必要があります。

・配偶者の墓参りや法要に参加することが困難になる

死後離婚を行うと、配偶者の家族との親族関係が終了してしまいます。墓参りや法要など親戚などが一堂に会する機会となるため、それらに参加することは非常に気まずいことになります。配偶者の家族から墓参りや法要への参加を拒否されることもあるでしょう。

亡くなった配偶者の墓参りや法要は故人に家族が無事で暮らししていることの感謝や子供の進学や結婚などの変化があったときの報告などの目的があります。

死後離婚については、その後の墓参りや法要のことも十分に考慮しましょう。

死後離婚の注意点

・配偶者の相続権

死後離婚では、配偶者の血族との姻族関係が終了するだけで、配偶者との戸籍に変更はありません。亡くなった配偶者の法定相続人であることに変わりありませんので死後離婚を行ったとしても亡くなった配偶者の遺産を相続することができます。

・遺族年金の受け取り

死後離婚では、配偶者の血族との姻族関係が終了するだけで、配偶者との戸籍に変更はありません。遺族年金の受給権を失うことはありませんので遺族年金を問題なく受け取ることができます。

・子供との血縁関係

死後離婚をしても配偶者との戸籍に変更はありませんので子供との血縁関係がなくなるわけではありません。また子供も亡くなった配偶者の法定相続人となります。

死後離婚で配偶者との姻族関係が終了するのは届出人の本人のみとなりますので子供は亡くなった配偶者の親族との親族としての関係は続きます。

新たに祭祀承継者を決めることが必要になる

祭祀承継者とは、お墓や仏壇、系譜などの祭祀財産を受け継ぎ、祖先の祭祀を主宰する人のことをいいます。一般的には、相続人や被相続人が指定した人物になることが多いです。

もし亡くなった配偶者の祭祀承継者となっていた場合は、義父母などの利害関係を有する親族と祭祀の承継について話し合いをしなければなりません。

まとめ

死後離婚とは、夫婦の一方が亡くなった場合に、生存配偶者が死亡した配偶者の血族との姻族関係を終了させるための届出のことです。

遺産の相続権に影響はありませんし、遺族年金ももらえます。しかし亡くなった配偶者との血縁関係を終了するというとは、これからの生活にさまざまな影響を及ぼすことが考えられますので死後離婚については慎重に検討をすることが必要です。

相続や死後離婚について不安や心配がある方は専門家に相談することをおすすめいたします。

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著者行政書士浜田政克
浜田政克行政書士事務所
(大阪府豊中市)

自身の相続に係わる経験から一念発起し、豊中市東豊中町にて行政書士事務所を開業。
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情報セキュリティ、個人情報保護法に精通し、「デジタル社会に迅速に対応できる法律家」として日々研鑽を積み重ねております。

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