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遺言を撤回する4つの方法
遺言書を撤回する
民法第1022条で、「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。」と定められています。
また、民法第1026条で、「遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。」と定められています。
ですから遺言はいつでも撤回することができますし、どの方式の遺言書でも撤回が可能です。
期限についても定めがなく遺言者はなく死ぬまでの間は自由に遺言を撤回することができます。
遺言の撤回をうまく使って、結婚、子育て、子どもの独立などの家庭の環境の変化と財産の状況に応じて遺言書を変更を加えて行員していくことは、遺言書を作成する目的から鑑みてもとても重要です。
遺言を撤回する手続きは決して難しくありませんが、内容に応じて適切な手続きやポイントがあります。
遺言書を撤回する方法
遺言を撤回するには以下の4つの方法が考えられます。
①遺言書のすべてを撤回する方法
遺言を撤回したい場合、「〇月〇日に作成した遺言を撤回します」という遺言書を新しく作成することによって、過去に作成した遺言書の内容を撤回することができます。
遺言を撤回することは自由にできますが民法1022条に定められてるように撤回は遺言の方式に従って行わなければなりません。
遺言を撤回する場合の遺言の方式は、撤回したい遺言と同じ方式でなくてもかまいません。
公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回してもよいですし、自筆証書遺言を公正証書遺言で撤回しても問題ありません。
遺言の方式に優劣はなく、どのような遺言の方式でも最新の日付の遺言が優先されます。
②遺言書の一部を撤回する方法
民法1023条1項に「前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす」と定められています。
遺言書が複数見つかった場合、最新の日付の遺言書が優先されます。
ですから遺言の一部を撤回した場合は、新しい日付の遺言書で別の内容を作成することによって撤回することができます。
この場合、新しい遺言書に「前の遺言を撤回する」と書かれていなくても新しい遺言書の内容と以前の内容に抵触する部分があると以前の遺言書の該当部分が撤回されたことになります。
たとえば以前の遺言書で「自宅を長男に相続させる」と書いたとき、後の遺言書で「自宅を次男に相続させる」と書けば、これらの遺言の内容に抵触している部分があり、以前の遺言が撤回されます。
③自筆証書遺言の撤回する方法
手元で自筆証書遺言を保管している場合は、その遺言書を破棄すれば遺言を撤回したことになります。
自筆証書遺言制度を利用し、法務局に自筆証書遺言を預けている場合は法務局に出向いて遺言書の保管の申請を撤回する必要があります。
この場合は遺言を作成した本人が法務局へ出向き、撤回を提出して撤回の手続きをすることになります。
④公正証書遺言を撤回する方法
公正証書遺言の作成では、遺言者に遺言書の正本と謄本を交付され、原本は公証役場で保管されます。よって手元の正本及び謄本を破棄しても遺言を撤回したことにはなりません。
公正証書遺言を撤回するためには、公証役場で撤回の申述をするか、新たな遺言書を作成し撤回する必要があります。
その他の留意点
遺言書の撤回を撤回することはできません。以前の遺言を撤回した遺言の撤回を撤回する等の内容を遺言に記載しても意味がありません。その場合は新しく以前の遺言書と同じ内容の遺言書を作成しましょう。
遺言を撤回するために新たに別の遺言書を作成する場合、要件を満たしていないと新しい遺言書が無効になるリスクがありますので注意しましょう。
遺言の撤回をする場合には公正証書遺言の作成をおすすめいたします。
まとめ
遺言書は自分の相続財産を誰にどれだけ、どのように譲りたいかについて記すことができます。
遺言書がある場合で、遺言者が相続の内容について記載がされていた場合、その内容に沿って遺産分割を行うことになります。
遺言とは、自分が生涯をかけて築き、かつ、守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う遺言者の意思表示とされています。
そして遺言の撤回や変更はいつでも、何回でも自由にできます。
遺言書を作成した後に、遺言者の財産の状況や家族の関係の状況が変化し心境や考えが変わる時には、遺言書を書き直した方がよいと思います。
ただし、遺言作成には方式や要件など専門的な知識が必要となります。遺言の撤回を確実に実現したい場合は専門家に相談することをおすすめいたします。
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