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自筆証書遺言保管制度と申請手続き
自筆証書遺言保管制度とは
自筆証書遺言を法務局で保管する制度が2020年7月10日から開始され、3年たった2023年7月で保管申請件数の累計は57,396件だそうです。ちなみに公正証書遺言の作成件数は約11万2,000件(年間)です。
法務局のホームページでは令和5年の自筆証書遺言保管制度の保管件数が19,336件でした。全国の法務局(遺言書保管所)の数が312か所ですので、1か所あたり年間で平均146件の遺言保管を受け付けていることになります。もっと利用の促進がされることを願っております。
法務局(遺言書保管所)は、全国312か所ありますが保管の申請をする遺言書保管所は、遺言者の住所地、遺言者の本籍地および遺言者が所有する不動産の所在地となりますので注意が必要です。また追加で保管の申請をするには、最初に保管の申請をした遺言書保管所に限られます。
自筆証書遺言を作成後、遺言者が管理をする場合に、死後、相続人に発見されないことや、改ざんされるおそれ等があります。自筆証書遺言保管制度は、自筆証書遺言のメリットを残しつつ、今までのデメリットを補完する制度と言えます。
費用的には自筆証書遺言制度を活用した方が1件につき3,900円と安く押さえることができます。
遺言書の保管申請時には、民法で定められている自筆証書遺言の形式に適合するかどうかについて、遺言書保管官によって外形的なチェックを受けることができます。
また、原本に加え、画像データとしても長期間適正に管理されることになります。そのため遺言書の紛失・亡失のおそれがありません。相続人等の利害関係者による遺言書の破棄、隠匿、改ざん等を防ぐことができます。ただし、遺言の内容については判断をしてもらうことはできません。 つまり遺言書の有効性は保証されません。
相続開始後、家庭裁判所における検認が不要であったり、相続人、受遺者、遺言執行者等は法務局で遺言書を閲覧したり、遺言書情報証明書の交付を受けることができ、相続手続きがスムーズに進みます。
通知サービスが2種類ある
関係遺言書保管通知
相続人等のうちの一人が、遺言書保管所で遺言書の閲覧をしたり、遺言書情報証明書の交付を受けた場合に、その他の相続人全員に対して、遺言書保管所に関係する書類が保管されていることのお知らせするサービスです。
指定者通知
遺言者があらかじめ指定者通知を希望すれば、その通知対象とされた方(遺言者1名につき、3名まで指定することが可能)に対して、遺言書保管所が遺言者の死亡を確認することができた場合、相続人等の閲覧を待たずに、遺言書保管所に関係する遺言書が保管されている旨のお知らせをするサービスです。
民法985条では、遺言の効力は遺言者が死亡した時に発生するとされています。遺言の効力が発生するときは、遺言者はこの世にはいません。相続発生時に遺言書が発見されなければ遺言書は意味をなしません。
自筆証書遺言保管制度の一番のメリットは相続人に遺言書の存在を知ってもらうことができるということではないでしょうか。
遺言書の保管申請の流れ
遺言書の保管申請の流れは以下になります。
自筆証書遺言を作成する
法務局で定められた遺言書の様式に基づいて自筆証書遺言を作成します。
※ただし、遺言の内容についての確認はしてもらえません。
・用紙は、A4サイズで作成します。文字の判読がしにくい地紋や彩色のない用紙を使う必要があります。
・財産目録以外は全て自書します。
・長期保管のためにボールペンなどの容易に消えない筆記用具を使用します。
・指定された余白を確保し、余白部分には何も記載してはいけません。
・片面のみを使用し、用紙の裏面は記載不可です。
保管の申請をする遺言書保管所を決める
保管の申請ができる遺言書保管所は、遺言者の住所地、遺言者の本籍地、または遺言者が所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所です。
申請書の作成
申請書に必要事項を記入します。申請書の様式は法務省のホームページからダウンロードできます。
保管の申請の予約をする
遺言者が専用のホームページ、法務局へ電話または窓口で事前予約をする必要があります。
保管の申請をする
以下の書類等を準備して、予約した日時に遺言者本人が、遺言書保管所に赴く必要があります。
・遺言書
・保管申請書
・本籍と戸籍の筆頭者の記載のある住民票の写し等の添付書類
(マイナンバーや住民票コードの記載のない作成後 3 か月以内のもの)
※遺言書が外国語により記載されているときは、日本語による翻訳文
・顔写真付きの官公署から発行された身分証明書(マイナンバーカード 運転免許証 運転経歴証明書 旅券など)※有効期限にご注意ください
・手数料
遺言書の保管の申請の手数料は、1通につき 3,900円(必要な収入印紙を手数料納付用紙に貼り付けます)
保管証を受け取る
手続きが終了したら、遺言書保管所から保管証が発行されます。無くさないように大切に保管しましょう。
まとめ
遺言書の保管方法はとても重要です。どのように保管するのが最適なのかは人それぞれです。法務局に預けるのか、または誰に預けるのかを慎重に考えて選択することが重要です。
自筆証書保管制度の利用で不安や心配がある場合は当事務所に相談することをおすすめいたします。
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