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相続人の中に海外居住者いる場合の相続手続き
相続人の中に海外居住者がいる場合の相続手続き
「相続人の一人が海外居住者だったら?」をブログのタイトルにしましたが私自身が海外居住者の相続人であったことが過去にあります。他の法定相続人も当時、私が海外居住者なので「どうすればいい?」って思っていたのでしょう。当時、仕事で海外に6年ほど赴任していました。
そういえばそのときの書類等は行政書士事務所から送られてきました。
遺言書がない場合の相続手続き
遺言書がない場合は相続人全員が参加して遺産分割協議を行わなければなりません。
そこでまず基礎調査が必要となります。すなわち「人、物、金」の特定を行います。
「人、物、金」の特定とは、相続人の範囲と相続財産の範囲と評価を確定させることです。
海外に居住している相続人も相続手続きを行うことによって遺産を相続することができます。海外に居住している場合、相続手続きに必要な書類の郵送に時間がかかります。現地の郵便事情によっては郵送費用の金額もそれなりの負担となります。
相続人調査を行う
複数の相続人の中で遺産の分配方法を決めたり、名義変更等各種手続きを行うためには、相続人を特定させることが必要です。そのために戸籍謄本等の公文書を調べて確定させます。つまり誰が相続人であるかを戸籍で確認をすることです。この調査は、遺産分割協議においては相続人全員が参加していないと無効になるため必ず行わなければなりません。
被相続人の生まれてから亡くなるまでの全部の戸籍を取り寄せて、誰が相続人かを調べます。
相続が開始すると
・被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍(除籍謄本・改製原戸籍謄本)
・相続人の戸籍謄本
を取得する必要があります。相続人が複数名いる場合においては、とても根気のいる作業となります。
また収集した戸籍謄本等は相続手続きでは金融機関等に対して相続関係を客観的に証明する資料となります。
これらの戸籍謄本等により法定相続人を確定させます。
相続財産調査および財産目録の作成
相続財産の調査とは、被相続人の財産をすべて調査し、財産額を適正に確定させることを言います。
財産には経済的にプラスとなる積極財産と経済的にマイナスとなる消極財産があります。
また財産調査を全て終わらせないと、後の相続手続きを進めることができません。遺産分割協議や相続放棄の検討においてとても重要な作業となります。
財産目録の作成
財産調査を終えたら財産目録を作成します。
財産目録とは、相続財産の内容が一覧でわかるようにまとめたものです。
財産目録の具体的な記載内容については、法律上の定めはありません。
遺産分割協議では財産目録があることによって相続財産を把握することができて、スムーズに協議が進みます。
海外に居住している相続人が財産調査に関与することは現実的ではありませんが、財産調査の結果についてはしっかりと確認をする必要があります。
遺産分割協議を行う
遺言書がなく、法定相続人が複数名いる場合、相続手続きを行うためには遺産分割協議が必要になります。
相続が開始されてから遺産分割されるまでは、その相続財産は共同相続人の共有の状態になっているからです。
相続人全員で協議をして相続財産を分割します。この話合いのことを遺産分割協議といいます。
相続財産について、誰がどの財産をどれぐらい取得するのか、法定相続人全員で話し合い、合意した内容を遺産分割協議書として作成します。
海外に居住しているからといって海外居住者の相続人を除いて遺産分割協議を成立させることはできません。
相続人の銀行の相続手続きや不動産の名義変更(相続登記)などの手続きでは、遺産分割協議書に実印を押印します。そしてその実印が本物であることを証明するために印鑑証明の提出が必要です。相続登記では不動産を相続した人の住民票の提出も必要になります。
海外へ赴任する際には、市区町村へ転出届を提出しますので印鑑登録は自動的に廃止されてしまいます。日本で転入届を提出していませんので住民票もありません。
したがって相続人が海外に居住していて日本の住民登録を抹消している場合は、これらの書類を準備することができないのです。海外に居住している相続人は、これらの代替となるものを準備する必要があります。
海外居住者の相続手続きに必要な書類等
サイン証明書の取得
日本では契約等をするときに印鑑を使用しますが、海外で契約等をするときにはサイン(署名)を使用します。海外在住の相続人は現地の在外公館(大使館・領事館)でサイン証明(署名証明)を受けて、自分のサインを印鑑の代わりとして使用できるように手続きをします。 サイン証明(署名証明)を受けるには、遺産分割協議書を現地の在外公館に持参し提示しなければなりません。係官の面前で遺産分割協議書にサインをすると、在外公館の発行する証明書と綴り合わせて、サインが本人のものであることが証明されます。つまり日本における印鑑証明と同じ効力をもつことになります。
在留証明の取得
海外在住の相続人で住民票が必要な場合は、住民票の代わりに在留証明が必要となります。 在留証明は、サイン証明と同じように現地の在外公館(大使館・領事館)で発行してもらえます。サイン証明と同時に申請することができます。
ただし在留証明の発行には、以下の条件があります。
・日本国籍があること
・現地ですでに3ヵ月以上滞在し、かつ現在も居住していること
発行を受けるときは、パスポートの他に住居の賃貸契約書や公共料金の請求書など滞在期間と海外での居住地がわかるものを持参しなければなりません。必要な書類については、現地の在外公館(大使館・領事館)に確認しましょう。
まとめ
相続人の中に海外居住者がいる場合の相続手続きで、海外居住者を除いて遺産分割協議を行っても無効になります。
また海外居住者が取得するサイン証明書や在留証明の取得にも煩雑な手続きがあります。
相続人の中に海外居住者がいる場合の相続手続きで不安や心配がある方は当事務所にご相談することをおすすめいたします。
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