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おひとりさまの遺言作成のポイントとは?(独身の方の遺言作成)

おひとりさまとは同居する人がいない、一人で生活をする人のことをいいます。おひとりさまになる理由は、生涯独身の方や死別、離別などさまざまです。日本ではすでに超高齢社会になっており、老後の過ごし方について不安に思っている人もいらっしゃると思います。

「生涯未婚率」という統計データがあります。「50歳時の未婚率」というのは、「45歳~49歳」と「50歳~54歳」未婚率の平均値から、「50歳時」の未婚率(結婚したことがない人の割合)を算出したものです。以前は生涯未婚率と呼ばれていましたが、生涯を通して未婚である人の割合を示すものではないそうです。

50歳までに一度も結婚したことがない人の割合を指すのですが近年の晩婚化・非婚化やライフスタイルの多様化など様々な現状を鑑み、名称を「50歳時未婚率」に変更されました。国税調査によると2020年時点で男性が約28%、女性が約18%となっています。2030年には男性の3人に1人、女性の4人に1人が生涯未婚者になるという予測も出てきているそうです。

おひとりさまが亡くなった場合に遺産や遺品がどのように処分されてしまうのか不安な方もいらっしゃると思います。

終活で重要なのが相続への準備です。そのために遺言書をきちんと作成しておくことは非常に重要なことです。

おひとりさまの場合、遺言書を作成していないと、大変ややこしい相続手続きを経て、法定相続割合によって財産が相続されることになります。

ご自身がこれまで築いてきた財産を誰にどう残すかという意思表示ができなくなってしまいます。

ですから遺言書の作成は非常に大事です。

おひとりさまの相続人としては親、兄弟姉妹や甥姪が相続人となります。

遺言書がない場合、親、兄弟姉妹や甥姪に相続権が及ぶことになり、その相続手続きも非常に煩雑になります。

つまり現金や預貯金、不動産や株式、自動車、その他の動産について誰にどのように相続させるのかを決めておかないと、結局は周囲に大変な迷惑をかけてしまうことになってしまいます。

おひとりさまの方は遺言書を作成しておくことは非常に重要です。

遺言作成にあたって大事なポイントは以下となります。

■誰に財産を渡すのか?

遺言書がなければ法定相続人に財産が引き継がれます。

遺言書で指定をすることによって法定相続人以外にも財産を引き継ぐことが可能になります。

まずは、誰に財産を渡すのかをご検討ください。

これまでにお世話になった方やお友達に財産を譲りたいという希望があろうかと思います。

病気やけがの治療などでお世話になった病院などの医療機関に寄付をしたい。

日常生活上の支援などでお世話になった福祉施設や介護施設に寄付をしたい。

営利を求めず、市民が抱える社会課題の解決へ向けた活動をしている公益法人や非営利団体へ寄付をしたい。

故郷を追われ、危険な旅を強いられている難民を救うため、恵まれない子供たちを救うために国際的な人道支援を行っているNPO法人に寄付をしたい。

ご自身がこれまで生活してきた市町村を含めた地方公共団体に寄付をしたい。

仏事などでお世話になった寺院などの宗教法人に寄付をしたい。

様々なお考えをもって相続人以外の団体に財産を譲りたいと希望する方もいらっしゃると思います。

お世話になった方にどういう形で財産を譲りたいかを改めてお考えになっていただき、そして遺言書を作成することが大事だと思います。

しかしながら遺言作成においては、交流はないが離縁した相手との間にお子様がいる場合は必ず遺留分のことを意識して遺留分相当額の財産をお子様や法定相続人に渡すこと等の配慮をすることも必要になってきます。

遺言書を作成していたとしても一定の範囲の相続人に認められる最低限度の遺産取得割合が遺留分となります。本来の法定相続人には、原則として法定相続割合の半分の財産を受け取る「遺留分」という権利が認められています。

疎遠である等の理由で相続人には一切渡したくないという思いがあっても原則的には法定相続分の半分の遺留分は必ずその相続人に権利が認められてしまいます。

遺言者は法律で「遺言自由の原則」が保障されています。そして法定相続分に反した遺言を残すことも、当然権利として認められています。

しかしながら遺留分を侵害する遺言には、相続人から遺留分に関する権利の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が発生してしまうのです。

家督相続が中心であった時代は、戸主の自由な財産処分を制限し、家産の散失を防ぐことが目的だったそうです。現在では、遺留分制度は遺言における自由な財産処分に制限を設けて、残された相続人の生活を守るためにあるとされています。

法定相続人にあたる方には遺留分相当額の財産を渡していただくことが後々の相続手続きの時に円満円滑に進むかことになると思います。

例外的に第3順位の兄弟姉妹や甥姪といった方が法定相続人にあたるケースでは遺留分は認められません。

お子さんがいない方に関しては遺留分を気にせずにご自身の財産を譲りたいというご自身のお考えを全面的に選択していただいてかまわないということになります。

■どの財産を渡すのか?

どのぐらいの財産があるのか、具体的な財産がどうなっているのかはご自身にしかわからないと思います。

不動産については所在地であったり、預貯金口座については口座のある銀行名と支店名であったり、証券については証券会社名と支店名のリストを作成することが必要です。

こういった最低限の情報を遺言書に記載することは相続人等が相続発生後に調査する負担がないため非常に助かることとなります。

エンディングノート等の遺言書とは別の財産リストを準備し、そこには詳細な情報を含めて一覧表にしていただくとより相続人等の負担が軽減されます。

運用資産や管理資産等の財産の見える化をぜひご検討ください。

■どのように財産を渡すのか?

法定相続人以外の方に財産を渡す場合は清算型遺贈の活用をご検討ください。

相続財産には不動産、預貯金口座、株式、投資信託、自動車などがあります。

これらの相続財産の全てを売却や解約などの手続きを行い、お金にすべて換えて、お金を一定額あるいは一定割合でお世話になった方や団体にお渡しするというものです。

おひとりさまの場合にはあとを継ぐ子がいなかったりする場合が多いため、不動産やそれ以外の財産などをそのまま引き継いでもらうというのはもらう相手を困らせてしまうことが多くなります。

相続財産を売却処分し、現金化の手続きをしたうえで一定の金額を渡すという内容を遺言書に盛り込んでおきます。

法定相続人以外の方へ財産を渡すという内容の遺言書を作成しておけばいざとなった時に「清算型遺贈」として、相続財産を引き継ぐ側も大変助かることとなります。

遺言書の文案作成には専門家に相談し、慎重に対応していただくことをお勧めします。

また遺言書に遺言執行者を指定しておくことも重要です。

おひとりさまに限らず、遺言作成の際には、遺言執行者を指定しておかれると、その後の名義変更等の手続きが非常にスムーズなのでお勧めです。

遺言執行者を指定することによって「清算型遺贈」では、不動産の売却、預貯金の解約、株式や自動車およびその他の動産の換価手続き、そして費用の清算、支払い、受遺者の方へのお金の分配を遺言執行者が責任者、主催者として手続きを進めていくことになります。

相続手続きにおいては遺言執行者の選任は非常に大切になります。

清算型遺贈を行っていく内容の遺言書を作成する場合、できれば行政書士や弁護士、司法書士等の相続手続きに精通した専門家を遺言執行者として指定しておくと非常に安心、スムーズなのでおすすめです。

おひとりさまが遺言作成するにあたって

■誰に財産を渡すのか?

■どの財産を渡すのか?

■どのように財産を渡すのか?

ご自身のお考えを整理して十分に検討しましょう。

おひとりさまが遺言書を作成せずに、万一が起こると、周りに本当に迷惑を被ることになります。

終活の総仕上げとしてきちんとした遺言書を作成しておくことが、周りに迷惑をかけず、大切な方にも感謝され、そして何よりも自分自身の安心につながると思います。

終活を実行し、大切な人へご自身のメッセージとともに遺言書を作成し、安心を得られることを切に願っております。

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著者行政書士浜田政克
浜田政克行政書士事務所
(大阪府豊中市)

自身の相続に係わる経験から一念発起し、豊中市東豊中町にて行政書士事務所を開業。
遺言作成、相続手続きサポート、成年後見を中心にお客様に安心してご依頼いただけるワンストップサービスを行っております。
情報セキュリティ、個人情報保護法に精通し、「デジタル社会に迅速に対応できる法律家」として日々研鑽を積み重ねております。

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