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子供がいない夫婦の生前対策とは?(相続対策)
子供がいない夫婦の相続
子供がいない夫婦の場合、どちらか一方が亡くなった時に、配偶者がすべての財産を相続できるとは限りません。
配偶者以外にも相続人がいる可能性があります。
近年、子供のいない夫婦のみの世帯数は増加傾向にあります。
2005年の国勢調査では約962.5万世帯でしたが、2020年には約1,115.9万世帯に増えており、全世帯数に占める割合は20.1%になっています。
相続トラブルを回避するためには事前の相続対策が必要となります。
・夫婦に子供がいない場合の相続人
子供がいない夫婦の場合、夫もしくは妻のどちらかが亡くなった時、配偶者は必ず相続人になります。
しかし、相続人となるのは配偶者だけではありません。亡くなった配偶者に父母や兄弟姉妹がいる場合は、配偶者と亡くなった方の父母、亡くなった方の父母が亡くなっている時は、配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になります。そのような場合には遺産分割協議で配偶者が亡くなった方の父母や相続人が遺産分割について話し合いをすることになります。
そして配偶者と亡くなった方の関係性によっては、遺産分割協議がうまくまとまらなかったり、スムーズに話し合いが進まないケースなどが考えられます。
・夫婦に子供がいない場合の法定相続人
法定相続人とは、民法で定められており、被相続人の遺産を相続できる人です。遺言書があれば、相続できる人は法定相続人以外が相続人となることがありますが、遺言書がない場合は基本的に法定相続人全員で遺産分割について協議し、どのように相続するかを決めることになります。
配偶者
被相続人の配偶者は、常に法定相続人となります。この場合の配偶者とは、法律上婚姻していることが絶対条件となります。
事実婚、内縁関係の場合や元配偶者は配偶者とは認められません。
第1順位:父母・祖父母
直系尊属である父母が相続人になります。父母ともに健在である場合は二人、健在なのがいずれか一方であれば一人が相続人になります。
父母が亡くなっている場合で祖父母が健在の場合は、祖父母が相続人となります。
第2順位:兄弟姉妹・甥姪
父母・祖父母が全員亡くなられていた場合は、被相続人の兄弟や姉妹、または甥・姪が相続人になります。兄弟姉妹には代襲相続の規定が適用されるため、父母・祖父母がおらず、兄弟姉妹が亡くなっている場合に甥や姪がつまり、夫婦に子供がいない場合の法定相続人は
・父母または祖父母が健在の場合
配偶者と父母または祖父母が法定相続人となります。
・父母と祖父母が亡くなっていて、兄弟姉妹がいる場合
配偶者と兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥姪)が法定相続人となります。
・父母と祖父母が亡くなっていて、兄弟姉妹がいない場合
配偶者のみが相続人となります。
・法定相続分
法定相続分とは、遺産を遺して亡くなった被相続人の相続において、各相続人の取り分として民法で定められた割合のことです。
配偶者と父母(または祖父母)が相続人の場合
相続人が配偶者と父母(または祖父母)の場合、配偶者が3分の2、親(又は祖父母)が3分の1となります。
父母ともに健在の場合は、3分の1を均等に分けますので6分の1ずつとなります。
父母が亡くなっていて祖父母が健在の場合は、祖父母が相続人になります。
配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
相続人が配偶者と兄弟の場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。
兄弟姉妹が複数人いる場合は、兄弟姉妹の4分の1を均等に分けます。
兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は、その子(亡くなった方から見て甥、姪)が代襲相続します。
配偶者のみが相続人
相続人が配偶者のみの場合、配偶者が全て相続します。
配偶者が全て相続できるのは、法定相続人が配偶者のみの場合に限られます。
法定相続人が配偶者以外にいる場合は、遺産分割協議が必要となりますが遺言がある場合は、遺言の内容が優先されることとなります。
子どもがいない夫婦の生前対策
子どもがいない夫婦の相続では、配偶者以外の方も相続人となるケースがあります。高齢で意思表示に支障があったり、長く連絡を取っていない疎遠な方が法定相続人に含まれる場合は、話がなかなかまとまらなかったり、スムーズに話し合いが進められない可能性があります。
生前に対策をしておくことが重要となります。
・遺言書の作成
遺言書を作成しておけば、誰に、どれぐらいの相続財産を相続させるのかを指定することができます。
また、遺言とは大切な遺族に対して「最後のメッセージを遺す」という意味もあるそうです。
相続においては遺言者の意思が最優先されるため、遺言書の内容は遺産分割協議や法定相続分に優先します。
父母または祖父母が健在である場合、父母または祖父母には遺留分の権利があります。
また、父母が生存している場合、父母には「遺留分」の権利があります。
遺留分とは、一定範囲の相続人のために、相続に関して法律上取得することが保障されている相続財産保留分のことをいいます。尚、一定範囲の相続人に兄弟姉妹は含まれません。
ただし、遺留分を侵害した贈与や遺贈などは、法律上当然に無効となることはありません。そして遺留分権利者が遺留分侵害額請求を行った場合は、その遺留分を侵害する限度で効力を失うことになります。要するに遺留侵害額に相当する金銭債権が発生します。
ただし遺言書の内容が遺留分を侵害している場合、遺留分をめぐって相続人間でトラブルになることがあるので注意が必要です。
・生前贈与
特定の方へ生きている間に確実に渡したい財産がある場合、生前贈与を行えば、確実に財産を引き継ぐことができます。例えば、自宅を配偶者へ贈与する場合が考えられます。
生前贈与をした際に、1年間(1月1日~12月31日の間)に贈与を受けた財産の合計が110万円より多い場合、贈与を受けた方に贈与税が発生します。夫婦間であっても、110万円を超える贈与であれば贈与税がかかりますので、注意が必要です。
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合であれば、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例があります。ただし、贈与された居住用不動産、または贈与された金銭で取得した不動産に配偶者が住んでいることが必要です。この条件に該当する場合は、この特例を利用することをご検討ください。
・家族信託
家族信託は、預貯金や不動産などの資産を持つ人が、特定の目的のために信頼できる家族に資産を託し、管理や処分を任せることができる財産管理方法のことです。生前対策の一つとして、家族信託を検討したほうがよい場合があります。
家族信託を活用することによって、配偶者が亡くなった後にその財産を誰に相続させるかまでを決めることができます。
子どもがいない夫婦の相続で、配偶者が亡くなった後は、関係性の深い特定の誰かの相続させたいという希望がある場合は、家族信託を検討するとよいでしょう。
例えば、代々、夫の親族が受け継いできた自宅に住んでいる場合、夫が亡くなった時に妻が自宅を相続すると、妻が亡くなった後はその自宅は妻側の親族に相続されていくことになります。そうではなく、夫が亡くなった後は妻が住むけれども、その後は兄弟姉妹の子供(甥姪)に引き継ぎたいと考える場合は、家族信託を検討するのがよいでしょう。
家族信託は契約なので認知症が発症していると信託契約を結ぶことができないなど注意すべき点がいくつかあります。家族信託を検討したい場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
夫婦に子供がいない場合は、配偶者の誰が相続人となるのかを確認することが必要です。
そして相続財産をどのように分割するのかを検討しましょう。
生前対策は、家庭の状況や、相続財産の内容などで最適な対策はそれぞれで異なります。
ただし、不動産がある場合は、財産を法定相続分通りに分けることは難しいことがあります。
遺言書の作成においても、法的に有効な遺言書を作成するには専門知識が必要となります。
生前対策を取るべきなのか、生前対策を取るとしたらどの方法が良いのか、よくわからない場合は、専門家に相談しておくことをおすすめいたします。
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